新たなる世界で
～第五話～
あれから二年間は座学を中心とした魔法の勉強を一生懸命頑張っていた。特に魔法は属性によって苦手などが存在することなどや魔法を無理に使いすぎると命にかかわることなど魔法を使うにあたって必要なことをしっかりと叩き込まれていた。
属性は火は水に弱く、金は火に弱く、木は金に弱く、土は木に弱く水は土に弱い。例外は光は闇に弱く闇は光に弱いということであった。
―このあたりはやっぱり陰陽道の関係が強いのかな―
それから月日も経ち、座学を終えてニューデリッヒ魔法学校への入学が近付いてきた日に
「あと入学まで二カ月を切りました、今日からは実習を中心とした魔法の勉強をしていきたいと思います。あぁ、それと一週間前にはいろいろと買い物をしに行きますから楽しみにしていてくださいね」
「やったぁー」
「やっとお勉強も終わりましたぁ」
「きつかったよなぁ、俺にばっかり妙にきびしいし……」
「いや、だってあんた先生の話している途中にいびきかきながらぐっすり寝るし」
「うぐっ」
「座学の始まりに遅れてくるとか」
「うぐぐ」
「怪談話のオチの時にくしゃみするし」
「うぐ……待てっ！？ それは関係ないだろ！！」
「まぁ先生も翔平のことは好きなんだからちゃんと勉強すれば厳しくはないはずよ」
「はいはい、雑談もそこまでですよ。私は翔平君のことは好きですよ、でもちゃんとした勉強を受けさせないといけないから厳しくしたんですよ」
「は～い」
園長先生は話を区切るとさっきまでの柔らかな笑顔を真剣な顔にして一人一人に語りかけるように話し始めた。
「今から魔法の実習を始めますがこれからいうことだけはしっかりと覚えておいてください。
身を守る以外にむやみやたらに攻撃系魔法や阻害系魔法を人に使わないこと。
これは攻撃魔法を使えるようになると気が大きくなってハッピートリガーになる人もでてきます。まぁほんのわずかですが、怪我をさせることなど簡単だということをおぼえていてくださいね」
「「「は～い」」」
「それではまず魔法の実習をはじめますが体術も並行してやっていきますので」
それから先生はまず聖子に火の魔法の基本を教え始めて翔平と良子の二人は魔法の実習がどのようなものか興味まるだしで見ていた。
「火の魔法は燃やすことや熱を伝えることを中心としたものが多いのです。なのでまずはファイヤーボールを使ってみましょうか。」
「はい」
「それじゃ私の詠唱に続けて唱えて魔力を練ってくださいね、イメージとしては属性を調べるときに思い浮かべた火の玉ね。
汝は火の精霊、灼熱の火炎を統べるものなり」
「汝は火の精霊、灼熱の火炎を統べるものなり」
「我は命ずる汝の炎は敵を倒せ、ファイヤーボール」
「我は命ずる汝の炎は敵を倒せ、ファイヤーボール！！」
聖子が詠唱を終えて勢いよく手を突き出すとマッチのピンポン玉ぐらいの大きさの炎がとってもゆっくりと進み消滅した。
しかし良子と翔平は魔法を初めて見たせいか興奮しながら手を叩いて聖子の魔法の成功を喜んだ。
「よくできました、慣れてきたら無詠唱でもできるようになりますから練習して入学までには大きさや密度をもっと高くしましょう」
「は～い」
「それでは次は良子ちゃんでいいですね、良子ちゃんは水と金のシムルですので治癒や状態回復系など補助系魔法を中心としています。
なのでさっき怪我をしている子犬を拾ったのでこの子の怪我を直してみましょう。傷はそこまで大きくなく足を釘か何かでひっかいたものでしょうから気楽にね」
「はい」
「それでは怪我が治るようにイメージしながら魔力を練って詠唱を続けてください。
汝は水の精霊、汝の水は万物を癒し清らかなる旋律を奏でる。汝は金の精霊、水の精霊を助けその力をわれに示せ。プリースト」
「な、汝は水の精霊、汝の水は万物を癒し清らかなる旋律を奏でる。汝は金の精霊、水の精霊を助けその力をわれに示せ。プリーストォ！！」
水色の光が子犬を包み足にあった傷がゆっくりと閉じていききれいに治った。翔平と聖子はまた違った魔法の効果に驚きながら手を叩いていた。
「良子ちゃんは治癒に適性があるみたいね。しかも金の精霊は補助に特化しているみたい。
最初からこんなに回復魔法が上手だったら将来は高名な医者になれるかもしれませんよ、後、水の魔法は治癒だけじゃなく攻撃魔法もあるので今後はそちらの方も練習していきましょう」
「うふふ、は～い」
「まぁまぁ、良子ちゃんの性格に合ってよかったわ。水の人はおしとやかな子が多いから」
「それってわたしが野蛮ってことですか！？」
「うむ、初めてあった時も飛び蹴っ「うっさい！！」うごっ！？」
翔平が聖子の言葉にうなずくと飛び蹴りを受けて地面を転がっていく。しかし園長先生はその様子を見ながらもスルーしながら話し続けた。
「ん～別に聖子ちゃんが野蛮というわけではなくて火の属性の人は大半が勇敢で勇気のある人や活発な人が多いんです、野蛮な人は黒い炎を持っていたりと元々の色がくすんでいたり濁ったりしているんですよ」
「はぁ～よかった」
「だ、大丈夫だよ！！お姉ちゃんはとっても優しいから！！」
「ありがとう良子」
「次は翔平君の番ですよ、いつまでもそこで転がってないでこっちにいらっしゃい」
「は、はい」
翔平は聖子に蹴り飛ばされて結構遠くまで転がって行っておりフラフラしながら帰ってきた。
それを見かねた良子は覚えたてのプリーストをかけた。
「だ、大丈夫ですか？」
「うん、良子のおかげでしっかりと治ったよ」
「ふん、自業自得でしょ」
良子の呼びかけに翔平はジト目で聖子を見ながら笑顔で答えた。しかしジト目で見られても聖子は気にしなかった。
「翔平君の場合は基本自体があまりわからないんですよね、まぁまずは翔平君の自由にしてもらってもいいですか？ その後に魔力の練りや魔法の構成を直していく形でいきますので。
そうですね、最初のように光の玉と闇の玉を作ってみましょうか、翔平君には詠唱というものがありませんので自由にしていいですよ」
「は～い」
翔平は返事をすると手を前に出して目を瞑りながら集中をする。
―光の玉と闇の玉を作る―
……ん……。
……君……。
……翔…君…。
「翔平君！？」
翔平は先生に覆い被さってきた直後に大きな爆発音があたりに響き渡った。
「な、なにがあったんですか？ そうだ聖子たちは！？」
「大丈夫です、私の魔法で木の蔓で彼女たちを守りましたから」
庭の中心にクレーターができておりその向こう側から木の蔓でできたドームから二人が咳込みながらも怪我ひとつなく出てきた。
「なにが起こったの！？」
「う～耳が痛いですぅ」
「みなさん怪我もないようですしよかったです」
「先生、何が起こったんですか？」
「さっきのは翔平君の作った光の玉と闇の玉がくっ付いてしまったんです」
「なんでくっ付いただけでそんな風になってしまったんですか？」
「翔平君の属性の闇と光が相反して爆発してしまったんです」
翔平は自分の魔法でここまでの被害を出してしまったことに驚いていた。しかしこれは事故でありもう一度同じ事をしろと言ってもできなかった。しかしひそかに翔平が練習していたのはまた別の話である。
「翔平君はこれからは光と闇を別々に練習していきましょう。魔法に慣れるまでこの魔法は禁止です、何度もこのようなことになりかねませんのでいいですね」
「は～い」
「それじゃこれからは基礎から頑張っていきましょう」
「「「は～い」」」
それから三人は園長先生に魔法を習いながら日は過ぎて行った。
おまけ
その日の夜
「くそっ、なんで昼のような魔法ができないんだ！」
平は必死に昼の時に起きた爆発魔法をもう一度自力で起こしてみようと頑張っていた。
しかしあの爆発を起こそうと少し離れた所から光の玉と闇の玉をくっつけてみるもなぜか音もなく消滅するばかりである。
「なんで消滅してしまうんだ？ どうすればいいんだろう？」
「何をですか？」
「そりゃぁ昼の爆発魔法を再現し…よ…う…と」
翔平の後ろから声が聞こえて振り向くとそこには般若がいた。
「翔平君私は昼になんていいましたか？ 被害を再発させないためにもその魔法を慣れるまで禁止しましたよね」
「イエスマム！！」
「ふふふ、わかってるのにまた悪戯をしてしまうなんて悪い子ですね。しょうがないですね、これは調ky…お仕置きしなきゃいけないようですね。それじゃいきますよ～」
「いやだ～死にたくない！？」
翔平は園長先生に引きずられながら闇に消えていった………。
「えっ～！？私の出番はないんですか～！？」
御堂由梨……それは今回あわれな人物であった。
あとがき
応援してくださっている方々、大変遅れてしまいすみませんでした。
なかなかイメージがわかなく書き遅れてしまいました。これからもこのようなことがあるかもしれませんが応援、ご感想よろしくお願いします。感想によってプニプニの意欲もプルプルいたしますのでよろしくお願いします。
次はお買いもの、入学編でお送りします。
それではまた次回に……
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