第4話・前篇

 

 

新たなる世界で

~第4話・前編~

 

 

ここについてすぐに荷物の整理を初めたのだが元から荷物がそこまで多くはなかったために片付けがすぐに終わりゴロゴロとベットの上で寝そべっていたのだが。
「翔君~、ご飯ができたので降りてきてください~」
声が聞こえてすぐに二階にある私の部屋から下りて居間にいくと由梨さん以外の顔がこわばっていたのだがなぜ顔がこわばっているのか分からなかったがみんな待っているようなのですぐに座った。
「それじゃぁ、みんなご飯を食べましょうか。いただきます」
「「「「いただきます」」」」
園長先生の掛け声の後に続くように私達があいさつをしたのだが、なぜ誰も手をつけない。
しょうがなく私が疑問を口にした。
「どうしてみんな口にしなんですか?」
「ええっと、あの…そう、やっぱり今日の主役のあなたがご飯を最初に食べるべきだと思いましてね」
園長先生のどもり様に違和感を感じながらも私はいそいそと料理を口にした。
パクッ。
料理を口にしたその瞬間私の頭を巨大な稲妻が駆け抜けていき、その稲妻は私の意識を刈り取っていった。
「やっぱり、こうなってしまいましたか」
「あうぅ、やっぱり死神の料理(デスクッキング)ですぅ」
「大丈夫よ良子、ほかの料理は私が作ったものに取り換えてあるから! そして安らかに眠りなさい翔平」
「あらあら~おいしすぎて気絶ですか~、まったくしょうがないですね~」
そのまま私が気を失いセスタス孤児院での最初の一日目が終わってしまった。
 
 
 
……。
…………。
 …………………。
「何をしているの、課題は終わったの!?」
「お母さん、あのね僕……」
「自分のことは私と呼びなさい! あなたはこの家の跡取りにならなければいけないの、ちゃんとした跡取りになるために言葉使いからしっかりなさい」
「……はい」
母が私の頬を平手で叩きながら放つ言葉にただうなづくしかできない。
――あぁ、私は夢を見ているんだ。
今いるはずがない母の姿をみながらふと思った。生前私は裕福な家庭に生まれて何不自由なく暮らしてきたが母は家を継がせるためにとっても私に厳しかった、この時から一人称が『私』に固定されたのだろう。体罰はもちろんだったこともあり逆らうことのできない私はロボットのように言うことだけを聞いて生きてきた。
 
そんな私にも中学校ではそれなりに付き合いのいい友人がいた。
ある時その友人がクラスの人にいじめられているところを見てしまい、私はその姿を見て見ぬふりをしてしまった。今思えば最低なことをしたものだ、このときの私は人からの評価だけで判断するような人間だった。その時助けるべきだったと気がついたのは彼が転校してからのことだった。
 
その時のことは今でも悔やんでいる、なぜ助けなかったのか、なぜ見て見ぬふりをしたのか、どうにかできなかったのか、
ぐるぐるとそんなことばかりが頭の中を回っている。
 
 
「……て」
誰の声だろうよく聞き取れない。
「は……お……て」
なおも誰かは私の体を揺さぶりながら声をかけてくる。
「ねぇ早く起きてよ」
「んん~。」
私が声に従い太陽の光を目にしながら伸びをすると起こしに来てくれたのだろう聖子はため息をついた。
「はぁ~、おはよう」
「おはよう、しかし私はなぜか昨日の料理を口にしてからの記憶がないんだけど何か知らない?」
「…あ、あはは。実は…………」
聖子からの話を要約すると由梨さんの作る食べ物は同じ材料を使い同じ工程でもあのような殺人料理ができるということだった。由梨さんを除いた三人は私が倒れたすきに自分たちで作った料理と取り換えたそうだ。
だからみんな料理に手をつけなかったのか。あれはへたな攻撃魔法よりも威力が強いような気がするが。
「なぜ教えてくれなかったんだ、教えてくれればどうにかできたかもしれなかったじゃないか」
「あんた本人のまえでそんなこと言えるわけないでしょ。しかもしかも由梨さんは味見して美味しいと思ってるんだから。それなのにまずいだなんて言ってみなさいよ、由梨さん泣いちゃうわよ。それでもいいの?」
「すまん。しかしだ、由梨さんはあれを味見したと言ったがあれを食えるのか!?」
「うん、わかんないんだけど由梨さんだけはあれを食べても無事だったの」
さすがに味見までしてるとは思わなかった、それに由梨さんに泣かれるのはいろいろな意味で辛いものがあるから素直に謝ってしまった。
だが由梨さんだけはということはみんな一度は口にしたんだろうか。
「それじゃ朝ごはんできてるから準備して降りてきてね」
「わかった」
 
そして私は服をパジャマから着替えて顔を洗い歯を磨いて下に降りた。
……しかしいつの間にパジャマに着替えたのだろう、まさか聖子や良子が着換えさせたわけでは……ないな。ありえない。
そんなことを考えながら居間の戸を開けておいしそうな朝ごはんの匂いが私のおなかを刺激した。よくよくみればあの劇物を一口しか口にしていなかった。
「おはようございます」
「「「「おはよう」」」」
私の挨拶にみんなが答えてくれるが……マテ、あの朝食はだれが作った!?
昨日の由梨さんの料理もうまそうな匂いはしていて見た目もしっかりしていた。
「あの~この朝食は誰が作ったんですか?」
「あ、あのぉ。わ、私ですぅ」
ホッ。
まだ多少ぎこちないながらもとても重要なこと、とても重要なことを教えてくれた。
大切なことだから二回言いました。あれは本当に命にかかわる。
「本当は~私が作ろうと思ったんですけどね~」
「「「(やめてっ!?)」」」
みんなの心が一つになった瞬間でした。
 
 
 
そのまま何事もなく良子が作った料理を美味しく頂きみんなで片づけをしてました。
片づけをしていて思ったのですが由梨さんは料理以外は大変有能みたいです。普段ポワ~ンとしていてもやることはきっちりこなしているからです。
 
朝食がおわってゆっくりしていると
「良子ちゃん、聖子ちゃん、翔平君動ける服装で庭に出てきてくれるかしら?」
「「「は~い」」」
園長先生の声に誘われ、着替えて出てみると
「翔平君も加わったことだし今日から魔法のお勉強を始めていきましょうか」
魔法を教えてもらえるらしい。そういえば魔力コントロールの練習は欠かすことはなかったけど魔法自体の練習はしたことがなかった。
「あなたたちは10歳からニューデリッヒ魔法学校に通わなくてはいけないのでその予習をしときましょうということです」
なるほど確かに魔法はこの世界での大きなステータスになるだろう、調べてみたら織田信長も銃をとりいれずに魔法を使ってたらしいからな。確かに連射速度も玉数も段違いだわな。
 
 
 
 
あとがき
 
中途半端ですみません、これ以上になると長くなりすぎるので前篇後編に分けてみました。
次からはちゃんと魔法も出していくのでファンタジーになると思います。
これからも応援、感想よろしくお願いします。
それではまた次回に。

 

 

 

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