第七話

 

新たなる世界で

~第七話~

 

 
 
 
 
 
 
商店街で各々の魔器を手に入れて、一週間と六日が経った。
今日三人の入学式があり全員が朝早くから目が覚め、朝ごはんを食べてもまだ六時五十分という時間だった。
入学式の始まりは八時三十分からであり、移動時間などを考えても三十分ほど時間があった。
 
「それでは みなさんには色々と事前に言っておくことがあります。まず魔法を悪いことに使わないこと、これは当たり前ですね。
次に未成年の無断での転移魔法、飛行魔法を使わないこと、これは未成年のうちに転移魔法等を使いすぎると転移魔法等にかかる魔力負荷が、成長しきってない体には悪影響を及ぼしてしまうからです」
「はーい」
「最後に実践訓練などもあるでしょうが、怪我など極力しないように帰ってきてください」
「はい」
「うん」
「は、はい」
「はい~」
「由梨さん、あなたはちがうでしょう」
「そうでした~」
「それでは戸締りをしっかりしてから行きましょうか」
 
広い孤児院の戸締りは全員でやってもそれなりに時間がかかる、全てを終えて出かける時には七時半とちょうどいい時間になっていた。
第七街通りを広場とは逆方向に歩くこと四十分、少し遠くに大変巨大な建物が見えてきた。
 
「でけ~」
「大きいわね」
「う、うん」
「この学校は五百年以上前から立ってたと言われています。そして入学者が増えるたびに増設をして今の大きさになっているんですよ」
 
五人が談笑しながら歩く通りには、入学者と思わしき人々がたくさん歩いていた。
歩いて少しすると正門に着いた、しかし近くで見るニューデリッヒ魔法学校の大きさに子供三人は唖然とした。
園長先生は三人の肩をたたいて足を先に進めた。園長先生について行くと看板に講道館と書かれた大きな建物があり、その入口には係員の女性と机が置いてあってアンケート用紙のような物があった。
三人はそのアンケート用紙を書き始めた。しかし、その紙には一言しか書いてなかった。
 
『あなたの望む力は何を為すべき為のものか』
 
下に選択肢がたくさん書いてあり、魔学研究者や傭探者などの職業の選択肢の中で三人は顔を見合せてアンケートに記入した。それは三人とも同じ、
 
『決まっていない』
 
と書いていた。
それを係員がみて次に球状の水晶を取り出し魔力を込めるように言った。三人が魔力を込めると赤く光った。
それを確認した係員は赤い魔法陣の中央にAと書かれたバッジを手渡した。
 
「それでは三人は赤いバッジなので赤い椅子のところに座ってください。保護者の方々は後ろの保護者席にお座りください。
式は後十分ほどで始まりますのでお急ぎください」
「わかりました。さ、三人とも急ぎますよ」
 
講道館に入ると四千以上の椅子が置いてあり、ほとんどが埋まっていた。
生徒の席は二千五百程で十二色ぐらいあった。
園長と由梨が保護者席に座り、三人が自分たちの席を探し出して座るとちょうど式も始まる頃だった。
館全体の照明が落とされて真っ暗になり、少しするとステージの照明がつき壇上には五十代半ばの貫禄のある男がいた。
ざわざわと声が上がる中、それを断ち切るかのように男は口を開いた。
 
「静粛にしてください。このたびはご入学おめでとうございます、わたしは校長の代わりに挨拶と学校のご説明をさせていただきます、教頭の近原源蔵と申します。
まず、このニューデリッヒ魔法学校は全九年学年あり、最初の二年で基本的なことを、次の三年で応用を、次の三年を各々の志望する職業に出向いたり、ギルドの依頼を受けるなどの場馴れを、最後の一年は卒業試験を含めてギルドのランクアップ試験など、個人によって内容は変わりますがこれが主な本校の方針です。
個人の志望する職業にできるだけの手助けをいたします、また主席や優秀者には奨学生や騎士への推薦をしていきます。
生徒への細かい事はクラスの担任から連絡があります。
これで私の説明を終わらせていただきます、これから君達が大きく成長していくことを期待しています」
 
教頭がこのあと少し話をして挨拶と説明を終え、頭を下げると所々から拍手があって教頭は檀上から下りた。
それから市長やいろいろな人が話していたが翔平はぐっすりと寝ていて話を聞いていなかった。
両側からそれを見た聖子と良子は深くため息をついていた。
その後数十分で式は終わり、十数人の係員が各色の席にいき生徒をそれぞれの教室へと案内していった。
 
「それではバッジが赤色の方たちは私について来てください」
 
係員の言葉に従って歩いて行き、校舎の中に入ると皆感嘆の声をあげた。
そこはまだできたばかりのような白い壁、ピカピカの廊下、心地いい木の香り全てが初めて学校というものに通う者にとっては素晴らしいものだった。
係員はそんな生徒たちを微笑ましい顔でみて、ちゃんとついてくるようにそくして階段を上って行きった。
四階ほどのぼり廊下を歩くとそこには四つの教室がありそれぞれの扉の前には担任と思われる人物が立っている。
 
「それでは奥の方から順にAからDとなっています。それぞれのバッジに書いてある教室に向かってください」
 
ぞろぞろと言われたとおりにそれぞれの教室に向かった。
翔平も聖子と良子と一緒にAの教室に向かっていると
 
「おい!君」
 
……。
 
「君のことだよ、君!!」
 
…………。
 
「ねぇ、多分翔平のことだと思うんだけど答えなくていいの?」
「どうせ面倒なことに巻き込まれるんだ、少しでも避けたいじゃないか」
「そうね……」
「そこの二人の美少女を連れた「翔平答えなさい」き……み」
 
翔平は聖子に強制的に振り向かされるとそこには見たこともない少年が立っていた。
少年は翔平を指差し大きく口を開くと、
 
「久しぶり 「…この前の」 …だな」
「僕はレゲトール家の 「あぁ、久しぶり」 嫡男……の」
 
少年の言葉を遮り翔平に話しかけてきたのは前に助けた少女だった。
 
「ねぇ、知り合い?」
「まぁ、前に一緒に買い物に行っただろ? その時に変な奴らに絡まれて困ってたから助けただけだ」
「……あの時はありがと」
「あ、あの、話は後で先に教室に行った方がいいですよ」
「そうだな」
 
良子の言葉に四人は教室に行き、その場に取り残されるのは少年一人だった。
その後教室に全員が入ったのを確認すると担任と思われる女性が教壇にたった。
 
「まじゅはにゅうぎゃくおめでとう」
 
いや翔平達より年下ぐらいで七歳ほどの少女だった。
自分たちとそう変わらない少女が先生と知りほとんどの生徒が目を見開いた。
あまりのことに一人の生徒が手をあげて
 
「あ…の、先生は何歳なんでしょうか……?」
「あぁ~、このしゅがたがきになりゅんだね! ちょっとまって」
 
少女が小さく何かをつぶやくと体が光り、そこにいるのは豊満な体の女性が立っていた。
 
「ごめんね、それでは改めて総勢六十八人の生徒たち入学おめでとう。私の名前は佐藤・F・メイリーン。二十歳の名前の通りハーフだよ。
よろしくね」
「その姿は?」
「ん~、どっちも私の姿なんだけど小さい時の方が省エネモードなんだよ、で普段はこの二十歳の姿ってわけ」
「はぁ」
「まぁ、そんなことよりもいろいろと連絡事項を言わなきゃいけないし、質問は後にしましょう。
まずは細かい校則から、喧嘩や決闘をするときには先生に報告してからすること」
「していいんだ」
「次に……まぁいいや学生手帳読んでて」
「おいおい、それでいいのか?」
「今日は入学式と担任の顔合わせのためだけだから、自己紹介なども明日からやるから今日は解散にしよっか。
うん、そうしよう。それじゃ皆明日八時からホームルーム始めるから遅刻しないように、じゃあね~」
 
メイリーンはそれだけ言うと扉から走って出ていき、呆然とした生徒だけが取り残されていた。しばらくしてそれぞれ帰る支度をして教室から出て行った。
翔平たちも帰ろうとすると
 
「……翔平」
「あぁ、君か。どうした?」
「……レイム・メルフィム、よろしく」
「改めて、俺は金田翔平。よろしく」
「私は海藤聖子よ、よろしくね」
「わ、私は海藤良子です。よ、よろしくお願いします」
「ふ、僕の名前は 「それじゃ帰るか」 かの大…貴ぞく…」
 
自己紹介を済ませた翔平達は教室を出て行った、あとに残されたのは気障なしぐさのまま固まった一人の少年がいただけだった。
 
 
 
 
 
 
あとがき
 
なかなかアイディアも出ず、講義やら宿題やらが忙しく更新もままならないorz
駄菓子菓子もといだがしかし私は頑張って更新していく所存であります!!
せめて二百話ぐらいまでいってみたいな~
ということでこれからも応援、感想よろしくお願いします。
 
 

 

 

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