第八話・前

 

 

 
 
 
 
 
 
新たなる世界で
 
 
 
 
~第八話・前編~
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
はじめての学校を終えた四人は昼時で人の賑わっている第三街の商店街へと向かっていた。
 
「それにしてもさっきはびっくりしたよ、メルフィムさんが同じ学校にいたんだから」
「……レイムでいい。
 私はたぶん翔平が同じ所と思ってた」
「へっ? なんでだ?」
「あの時に街にいる自分と同じくらいの子がいたら大抵わかる」
「あ~、確かに」
 
そのまま四人はにぎやかに談笑しながら第七街を抜け広場に出た。
広場は昼時ということもあり、数多くの人々が居り、ある女性は昼ご飯の食材を買いに、ある家族は出店で外食をしている。
 
「こんな平日もやっぱり賑わってんのね」
「め、目が回りそうです」
「そうだな、早いところここから抜けないとな」
「……第三街のいい喫茶店知ってる」
「お、そこに行くか。 二人ともいいか?」
「ええ」「は、はい」
 
翔平達が足を早め、第三街に行こうとすると食品系の出店とは違った人だかりができていた。
 
人だかりの中心からは幼く、されど力強い声で何かを売ろうとしているようだった。
翔平達は気をひかれてしまい、人ごみの隙間を掻い潜って一番前の方にでるとそこには自分たちと同じバッジをつけた男の子が、色々な機械を並べそれぞれの機能を演説していた。
 
「さぁさぁ、はじめての方は初めまして、一度見た方はお久しぶりや! こんなにぎょうさん集まってもろてうれしいわ」
「おいおい、坊主。下手な前振りはいらんから商品の説明してくれや。 坊主の物は面白いからついついきちまうんだから」
 
男の声に賛同する声が多数でて、初めてと思われる人からは笑いの声が上がっていく。
 
「そんなぁ、あんさんきついわ。 おもろいもんなんて売っとらんで。
わいが売っとるんは便利、安心、大人気の三拍子揃ってるもんやで~」
 
男の子は周りの人々に対して自分の機械を自慢するかのように説明を始めた。
 
「さぁさぁ、まずはこれ! 『はいはい、いい子は静かにせんとあかんでー一号』や!
これは泣いている子供や赤子がおったらゆすって泣きやませてくれるすぐれもんや」
「ほほぉ、なかなかまともなもんじゃないか。
で、欠点は?」
「……泣きやまんとどんどん揺すりが大きなってしまうとこや。だが、結果的にはちゃんと泣き止む!」
「その心は」
「気絶」
「ハイハイ、次ノ商品ハ何ダ?」
 
そのやりとりを見ていたお客は笑いながらも様々な機械の中から使えそうな物だけを買っていく。
その様子に翔平達は呆然と眺めていた。
 
「皆さん、本日はほんますんまへんが今日はこれでお開きや!
またえらい商品持ってくるさかいかんばんしてや~」
 
男の子がお店を閉めることを言うと周りの人だかりもすぐに消えていき、翔平達も目的の喫茶店に向かった。
 
第三街の入口に差し掛かった時に後ろから声が掛かってきた。
 
「にいさん達、ちょっと待ってくれ」
 
翔平達が振り返るとそこには先ほどの少年が息を切らせながらこちらに走ってきていた。
 
「ええっと、なんですか? 」
「はぁはぁ、いやな、ちょっとな、用事」
「息を整えてから話しなよ」
「はぁはぁ、すまんな」
 
男の子が膝に手をつきながら息を整え、汗をぬぐい終わるとガバッと顔をあげた。
 
「にいさんらはニュー学の新入生やろ!? 」
「あ、ああ」
「しかも赤のAやろ!?」
「そ、そうだけど……」
「そらよかった、わいと友達になってぇな。 こっちに来てまだ友達が居らんのや! そやそや、わいはベイド・フラグニ―ルちゅうんや」
 
翔平達たちがベイドのマシンガントークに冷や汗をかきながら押されながら口を開いた。
 
「俺は金田翔平だ、よろしくな」
「あたしは海藤聖子よ、よろしくね」
「……レイム・メルフィム」
「わ、私は海藤、りょ、良子 「惚れた!」 ひゃ!?」
「良子ちゃん、わいは惚れた、惚れたで! ぜひぜひ友達から付きおうてください」
「と、友達なら」
 
良子がびくびくしながらも勇気を振り絞って答えると、ベイドは良子の手を握りながら笑顔で
 
「おぉ、ぜひぜ 「いいかげんにしろっ!」 ぐひゃ」
 
横から聖子に蹴り飛ばされた。
 
「な、なんや、えらい凶暴なべっぴんさんやな」
「褒めてもだめ、良子を驚かすんじゃないわよ」
「す、すまん。 そ、そや、翔平達は今からどこに行こうとしてたんや?」
 
蹴り飛ばされて転がって行き、何ともなかったかのようにベイドは体についた埃をはたきながら戻ってきた。
そんなベイドを聖子がジト目で見ていると、ベイドは話を変えようと焦りながら翔平達に行き先を尋ねた。
 
「昼ご飯だ、レイムがいい喫茶店を知ってるからそこにな」
「なぁなぁ、よかったらわいもついてってええか? わいも飯食ってないから腹が減ってるんや」
 
ベイドはお腹を押さえながら懇願するように頼んでき、それを翔平達は苦笑しながら顔を見合せながらいいよと頷いた。
 
「そんじゃま、いきましょか~」
「ちょ、ちょっと待てって!?」
 
行き先を知らないはずのベイドが先陣をきって走って行き、慌ててその背中を四人が走って追って行く。
街の人が笑顔でそれを見守っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
あとがき
 
 
 
かなりの間放置いたしましてすいませんでしたorz
しかしながらこれかもカメ更新かもしれないが完結までがんばっていきますので応援よろしくお願いします。
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